日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツヤコバチ」の意味・わかりやすい解説
ツヤコバチ
つやこばち / 艶小蜂
節足動物門昆虫綱膜翅(まくし)目ツヤコバチ科Aphelinidaeの昆虫の総称。和名は「体につやがある」という意味であるが、実際には金属光沢はなく、黄、褐、黒とさまざまな体色をもつ。学名はギリシア語で「体が滑らか」という意味である。体長0.5~1.5ミリメートルの小形の寄生バチで、各種の昆虫に寄生し、天敵として重要な群である。触角は普通8環節からなり、腹部は無柄。世界に広く分布し、カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミ、そのほかの昆虫に寄生する。生活様式は種によってさまざまで複雑である。たとえば、カスカ属Casca、コッコファグス属Coccophagus、ユークサンテルス属Euxanthellus、フィスクス属Physcusなどの雌の幼虫は、第一次寄生バチとして寄主に内部寄生するのに、雄の幼虫は、その未成熟の雌に第二次寄生バチとして外部寄生する。このような現象を同胞寄生adelphoparasitismという。天敵として有名な種には次のようなものがいる。ミカンノトゲコナジラミに寄生するシルベストリーコバチEncarsia smithi、ルビーロウムシ、カメノコロウムシなどに寄生するルビークロヤドリコバチCoccophagus hawaiiensis、リンゴワタアブラムシに寄生するワタムシヤドリコバチAphelinus mali、ミカンマルカイガラムシに寄生するミカンマルカイガラキイロコバチAphytis cylindratus、中国原産で、ヤノネカイガラムシの天敵として日本に輸入されたヤノネツヤコバチPhyscus fulvusやヤノネキイロコバチA. yanonensisがある。
[立川哲三郎]