日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤノネカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説
ヤノネカイガラムシ
やのねかいがらむし / 矢根貝殻虫
[学] Unaspis yanonensis
昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目マルカイガラムシ科Diaspididaeに属する昆虫。雌の貝殻は細長く、2.8~3.5ミリ。濃い褐色で、縁は灰白色。背面中央には顕著な縦稜(じゅうりょう)がある。雄の貝殻は小さく、1.2~1.5ミリ。白色で背面には3本の縦稜がある。雌成虫は無翅で、体節は明瞭(めいりょう)。雄成虫は細長く約0.6ミリ、はねの開張が1.8ミリ内外。体は橙黄(とうこう)色で、触角は長く10節からなる。年3回発生し、雌成虫で越冬する。ミカン類の茎、葉、果実に寄生して黒色化させるすす病を併発して大害を与える。中国原産で、日本全土に分布する。天敵として、ヒメアカボシテントウ、クロテントウなどが知られる。
[林 正美]