改訂新版 世界大百科事典 「ティトマス」の意味・わかりやすい解説
ティトマス
Richard Morris Titmuss
生没年:1907-73
イギリスの社会政策学者。ウェールズのベッドフォードシャー生れ。15歳で学校を終えたあと実業界で働き,1942年から49年まで内閣で歴史家として勤務した。第2次大戦後に急速に頭角を現し,50年にT.H.マーシャルの後を継いで,ロンドン大学社会科学部の主任教授となり,ソーシャル・アドミニストレーション(社会行政学あるいは福祉政策学と訳される)の研究分野で多大の業績を挙げた。また政治的には労働党に属し,労働党の政策立案にも貢献するとともに,イギリス本土はもちろん,海外の多くの国々,たとえばモーリシャス,タンザニアなどの社会政策の策定に直接かかわりをもったほか,他の国々の社会保障,保健・福祉の研究や政策形成に大きな影響を与えた。著書は数多くあるが,邦訳されているものとしては《福祉国家の理想と現実》(1958),《社会福祉と社会保障--新しい福祉を求めて》(1968)がある。また死後,遺族によってまとめられた遺稿《社会政策》(1974)がある。
執筆者:三浦 文夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報