ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テイパン・マウン・ワ」の意味・わかりやすい解説
テイパン・マウン・ワ
Theikpan Maung Wa
[没]1942.6.6. サガイン,カンバルー近郊
ビルマ (現ミャンマー) ,イギリス領時代の「キッサン・サーペー」の代表的作家。本名ウー・セインティン。 1927年ラングーン大学を優等 (ビルマ語) で卒業。当時のイギリス植民地行政官への登竜門であるインド文官 ICS試験にビルマ人として初めて合格し,オックスフォード大学に留学。 29年帰国後は行政官としてビルマ各地に勤務するかたわら文筆活動に励んだ。のち県知事になり,出張先の宿舎で匪賊に襲われ死去した。『幸せ』 Sizein (1930) ,『蒸気船ミンラッ』 Minlat (31) など,ウットゥ・サウンバーと呼ばれる随筆風掌編小説を多く書いた。作風は近代的な視野のうちに,ビルマの伝統的な田園の生活や,仏教的価値観に裏打ちされた安らぎのある生活を静かに見つめなおそうとするもので,簡潔な文体により描き出されるビルマの人と風土は,絵画的な鮮明さをもって読者に印象づけられる。
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