改訂新版 世界大百科事典 「ティピ」の意味・わかりやすい解説
ティピ
tipi
北アメリカの平原インディアンが住居として用いた円錐形テント。tepeeとも書く。大平原はミシシッピ川からロッキー山脈におよぶ広大な地域で,ブラックフット族をはじめ多くの部族が生活していたが,野牛(バイソン)の群れを追って集団狩猟をしていた点は共通している。ティピは松かモミの木3~4本を軸にし,補助の材を加えて円錐形の骨組みを作る。これに頂部からおもりをおろして固定する。骨組みに野牛の皮をまきつけ,ピンでしっかりとめる。頂部の布は長い棒で開閉し,天窓と煙出しになる。皮の天幕には獲物の絵や紋章などが描いてある。平面は円形で中央に炉がある。入口正面の奥が主人の座になっている。ティピは約20分で組み立てられるといわれ,また簡単に分解して移動できる。19世紀末,野牛は絶滅に瀕し,平原インディアンの伝統的生活も崩壊した。
執筆者:杉本 尚次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報