テウェルチェ(その他表記)Tehuelche

改訂新版 世界大百科事典 「テウェルチェ」の意味・わかりやすい解説

テウェルチェ
Tehuelche

アルゼンチンパンパパタゴニアアラウカノ,プエルチェとともに住んでいた狩猟民マゼランの世界周航のときに初めて白人と接触したが,19世紀の後半に入るまでは,この地域ではイエズス会の宣教活動ぐらいしか行われていなかった。しかしその後,白人の入植が始まり,土地を追われ,人口は激減し,現在はごく少数が残っているだけである。かつてのテウェルチェは,槍と飛道具ボーラ(石に結んだ皮ひもを振り回して,遠心力で石を飛ばす)を使ってラクダ科のグアナコやレア(アメリカダチョウ)を狩猟した。野生植物の採集は重要だったが,農耕はまったく知らなかったし,家畜もなかった。スペイン人が入ってから,騎馬の技術がとり入れられ,大規模な狩猟を行うようになった。テウェルチェの経済・社会活動の基本的な単位はバンドで,一定の領域を有し,首長に統率された集団が領域内を遊動していた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテウェルチェの言及

【アメリカ・インディアン】より


[採集・狩猟民]
 アルゼンチンとチリ南部の地域は,16世紀のヨーロッパ人の植民地に入るまで農耕が行われなかった。チリのアラカルフ族やヤーガン族,フエゴ島のオナ族のような狩猟と漁労を生業とする民族や,アルゼンチンのパンパでグアナコ,レア,その他の小動物の狩猟で生きるテウェルチェ,プエルチェ,ケランディ,チャルアの諸族がいた。ヨーロッパ人の移住に対しては強い抵抗を示し,両者の争いは19世紀まで続くが,結局は敗れてこの地域のインディオはほとんど絶滅してしまった。…

※「テウェルチェ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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