日本大百科全書(ニッポニカ) 「テ・カナワ」の意味・わかりやすい解説
テ・カナワ
てかなわ
Dame Kiri Te Kanawa
(1944― )
ニュージーランドのソプラノ歌手。ギズボーン生まれ。父方は先住民マオリの名家。1970年、ロンドンのコベント・ガーデン王立歌劇場にデビュー、モーツァルトの『フィガロの結婚』の伯爵夫人の役で成功、一躍有名になった。以後モーツァルトのオペラの主要な役を中心に、ベルディ、プッチーニなどを世界の主要歌劇場で歌っている。コンサート歌手としての活躍も多く、世界の主要オーケストラ、指揮者と共演、カントルーブ、ガーシュイン、ジェローム・カーンの作品を取り上げるなど、クラシック音楽の枠を越えた取り組みをみせている。新鮮で暖かみのある声質、豊かで陰りのない発声、滑らかな歌唱、舞台栄えのする容姿により、今日のもっとも優れたリリック・ソプラノ(ソプラノ・リリコ)の一人とされ、録音も非常に多い。70年(昭和45)初来日。
[美山良夫]
『吉田秀和著『時の流れのなかで』(中公文庫)』▽『David Fingleton, James LevineKiri Te Kanawa ; A Biography(1982, Simon & Schuster, London)』▽『Garry Jenkins, Stephen D'AntalKiri ; Her Unsung Story Paperback ed.(1998, HarperCollins, London)』