ソプラノ(読み)そぷらの(英語表記)soprano イタリア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソプラノ」の意味・わかりやすい解説

ソプラノ
そぷらの
soprano イタリア語
soprano 英語
soprano フランス語
Sopran ドイツ語

音楽用語。次の4種の用法がある。

(1)多声楽曲における最上声部をさす。西洋音楽史において、この語が定着して用いられるようになったのは16世紀後半で、『和声論』Le istitutioni harmoniche(1558)を著したツァルリーノ(ザルリーノ)Gioseffe Zarlino(1517―90)もこの意味でソプラノの語を用いている。15~16世紀では、最上声部をさす語としてカントゥスcantusやディスカントゥスdiscantus(いずれもラテン語)などの語もみられる。一方、17世紀にはトレブルtreble(英語)の語が同義で使用されている。

(2)女声なかでもっとも高い声域をさす。その音域はおよそB3―B5であるが、独唱の場合にはF6を要求されることもある。オペラに登場するソプラノはその声質や歌唱法によって細かく分類され、おもなものに、力強く劇的な表現を必要とするソプラノ・ドラマティコsoprano dramatico、叙情的で甘い性格をもつソプラノ・リリコsoprano lirico、玉を転がすような声質でもっとも高い声域を歌うコロラトゥーラcoloratura(いずれもイタリア語)などがある。そのなかでとくにリリコは、声質のより軽いリリコ・レッジェーロlirico leggieroと、より重いリリコ・スピントlirico spintoとに区別される。なお、女声に限らず、同じ音域をもつ男声や声変わり前の男児も、メール・ソプラノmale sopranoやボーイ・ソプラノboy sopranoのようにソプラノとよばれる。

(3)17~18世紀にみられる数種の音部記号のなかで、ソプラノ声部用に使用されるものをソプラノ記号という。ハ音記号により、五線譜の第一線をC4音と定めたもので、高音域のソプラノ声部にとって、五線譜に加えられる加線が最小限度に抑えられる。

(4)数種の大きさがある同一楽器のなかで小さいもの、つまり高音域を奏するものにソプラノの語が付加される(例、ソプラノ・リコーダー、ソプラノ・サクソフォーン)。なお、ソプラノよりさらに小さい楽器には、ソプラニーノsopranino(イタリア語)があてられる。

[黒坂俊昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソプラノ」の意味・わかりやすい解説

ソプラノ
soprano

女声の最高声域。音色表情によって,ドラマティコ,レジェーロ,スフォガート,アクート,スブレットなどに分けられる。また軽やかな転がるような曲を得意とする声種をコロラトゥーラ・ソプラノと呼ぶ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

期日前投票

期日前投票制度は、2003年6月11日公布、同年12月1日施行の改正公職選挙法によって創設された。投票は原則として投票日に行われるものであるが、この制度によって、選挙の公示日(告示日)の翌日から投票日...

期日前投票の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android