日本大百科全書(ニッポニカ) 「テチス動物群」の意味・わかりやすい解説
テチス動物群
てちすどうぶつぐん
Tethys fauna
古生代末から新生代中ごろにかけて、テチス海(北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸の間に延びた長い海)に生息した動物群。この海の堆積(たいせき)物は、現在の北アフリカ、南ヨーロッパ、中東、インド、ヒマラヤ地域に分布し、日本はその北東縁にあたる。ペルム紀(二畳紀)から古第三紀にかけて、この海域は一つの生物地理区をなしていた。おもな動物群は、紡錘虫類や四放サンゴ類(以上ペルム紀)、アンモナイトの一部や厚歯二枚貝(あつばにまいがい)(以上中生代)、貨幣石(古第三紀)があげられる。パンゲア大陸の分裂や移動の始まった中生代末にはテチス海北部に深い海ができて、その北のボレアル生物区の頭足類(アンモナイトや箭石(やいし))の南下の障壁となった。
[棚部一成]