日本大百科全書(ニッポニカ) 「テチス海」の意味・わかりやすい解説
テチス海
てちすかい
Tethys Sea
古生代デボン紀末から新生代古第三紀まで、地中海周辺域から中央アジア、ヒマラヤを経て東南アジアまで続いていた海域。古地中海ともよばれている。テチス海は、北側のローラシア大陸(現在の北アメリカ、ユーラシア大陸)、南側のゴンドワナ大陸(現在のアフリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極大陸とインド)に挟まれた海域であり、両側から砕屑(さいせつ)物を供給されていた。テチス海は古第三紀に両大陸の衝突により、大部分の海域が閉塞(へいそく)し、アルプス‐ヒマラヤ造山帯を形成した。とくにヒマラヤ山脈は北側のローラシア大陸に、南側のゴンドワナ大陸から分離したインドが衝突して形成されたものである。この造山運動はアルプス造山運動とよばれている。
テチス海域ではどの地域でも紡錘虫、アンモナイト、サンゴなどの動物群が共通しており、テチス動物群とよばれている。また動物群の類似からテチス海は、日本など環太平洋の海域につながっていたことが明らかになっている。
[村田明広]