パンゲア(読み)ぱんげあ(英語表記)Pangaea

翻訳|Pangaea

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンゲア」の意味・わかりやすい解説

パンゲア
ぱんげあ
Pangaea
Pangea

約3億年から2億年前の古生代石炭紀後期から中生代三畳紀にかけて存在していた超大陸のこと。ウェゲナー大陸移動説を考えたときに、現在みられる大陸はもともと一つの巨大な大陸をつくっていたとして、ギリシア語で「すべての大陸」という意味で命名された。パンゲアは北側のローラシア大陸と南側のゴンドワナ大陸に大きく分かれており、間にはテチス海という大きな湾入が存在していた。パンゲアの周囲の海は、「すべての海洋」という意味でパンサラッサとよばれている。パンゲアが存在していたことにより、当時の氷河堆積(たいせき)物や熱帯性植物化石が大西洋を挟んで分布していること、本来なら行き来できないはずの同種の陸生の動物化石が大西洋を挟んでみつかることなどが、合理的に説明される。

 約2億年前からパンゲアが分裂移動することにより、徐々に現在の大陸配置に変わっていった。ローラシア大陸は現在のユーラシア大陸(インド半島を除く)と北アメリカ大陸に、ゴンドワナ大陸はアフリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸、南極大陸、インド半島に分裂、移動した。インド半島は、新生代古第三紀にユーラシア大陸に衝突し、間にあったテチス海を閉塞(へいそく)させた。パンゲアの分裂、移動はウェゲナーの大陸移動説で説明されていたが、現在ではその説を包含するプレートテクトニクス説によって、海洋底も含めたいくつかのプレート運動とそれらの相互作用結果であるとされている。

[村田明広]

『アルフレッド・ウエゲナー著、竹内均訳・解説『大陸と海洋の起源』(講談社学術文庫)』『金子史朗著『ロストワールド・科学の旅:ギアナ高原からパンゲアへ』(講談社ブルーバックス)』

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