テレーズデスケルー(読み)てれーずですけるー(その他表記)Thérèse Desqueyroux

デジタル大辞泉 「テレーズデスケルー」の意味・読み・例文・類語

テレーズ‐デスケルー(〈フランス〉Thérèse Desqueyroux)

モーリアック小説。1927年刊。大地主と愛のない結婚をした女性テレーズが夫を毒殺しようとして未遂に終わり、自由と孤独の宿命を負って夫と別れるまでを描く。

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関連語 新潮文庫

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テレーズデスケルー」の意味・わかりやすい解説

テレーズ・デスケルー
てれーずですけるー
Thérèse Desqueyroux

フランスの作家モーリヤックの長編小説。1927年発表。主人公テレーズは、夫ベルナールの常用薬中の砒素(ひそ)の分量を徐々に増やしてその命を危険にさらした女である。結婚とは財産を統合して後継ぎをつくることとしか考えない夫や家族に代表される日々の生活に、耐えがたい窒息感――恐怖を覚えたからだった。この「犯行」は未遂に終わり、体面を重んじる一族工作によって事件は不起訴となる。しかし、彼女は引き続き人里離れた別荘に閉じこもり、のちにパリに放免されるまでの半年間、自分の犯した行為とのみ向き合って、闇夜(やみよ)にも似た生活を送らなければならなかった。続編は『夜の終り』(1935)。

[中島公子]

『杉捷夫訳『テレーズ・デスケイルゥ』(新潮文庫)』

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