ディアコニッセ(その他表記)Diakonisse[ドイツ]

改訂新版 世界大百科事典 「ディアコニッセ」の意味・わかりやすい解説

ディアコニッセ
Diakonisse[ドイツ]

原語は〈奉仕する女性〉を意味し,日本では〈奉仕女〉と訳す。プロテスタント教会において,奉仕に専心する女性のために設けられた職務で,ドイツに始まる。男性のための同じ職務はディアコーンDiakonと呼ばれる。1836年,ドイツのカイザースウェルトの町に,牧師フリートナーTheodor Fliednerによって最初の奉仕女制度が作られた。未婚で生涯独身のキリスト者女性が各種施設や教会で社会的奉仕に献身する。奉仕女はそれぞれ〈母の家(ムッターハウス)〉に属し,そこで訓練を受け,派遣される。衣食住はすべて保証される。この制度はドイツを中心に各国に広がり,カトリックの修道女たちのめざましい働きに対応する,プロテスタント奉仕活動の一つの中核となった。日本にもドイツ人奉仕女が派遣され,日本人奉仕女の育成にあたった。現在,東京と浜松に二つの〈母の家〉があるが,まだ運動は強力ではない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディアコニッセ」の意味・わかりやすい解説

ディアコニッセ
Diakonisse

一般には女性の助祭もしくは執事をさすドイツ語であるが,特殊的には,1836年ドイツのカイザースベルトで,ルター派の牧師 Th.フリートナーが創設したディアコニッセ養成所およびその後欧米に設けられたその支部のメンバーをいう。新約聖書にさかのぼるとされ初期教会に有名であった女性執事を修正復活した教会公認の制度で,多くの場合終生独身で共同生活を営み,看護を中心に社会事業,教区奉仕,教育などに従事する。第2次世界大戦後国際機関ディアコニアが組織された。これにならってプロテスタント諸教会でも種々な形の女性執事が復活している。日本でも,浜松ディアコニッセ母の家,ベテスダ奉仕女母の家 (東京,館山) などを中心として日本人ディアコニッセの活動がなされている。

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世界大百科事典(旧版)内のディアコニッセの言及

【キリスト教】より

…敬虔主義は,超自然的理性でもって組織される正統主義の教義学を排し,聖書と説教を重んじ,内的敬虔の豊かな信徒の共同体をつくり,社会的実践にも積極的に取り組んだ。ディアコニッセと呼ばれる社会事業が始まったのは19世紀に入ってからであるが,その精神は敬虔主義に根ざしている。ドイツ神秘主義,フランスのキエティスムピューリタンの禁欲などにつらなる所があり,その点で敬虔主義は孤立した運動ではなかったが,〈教会内の小教会〉を標榜しつつも教派とならなかったことはピューリタンと異なっている。…

※「ディアコニッセ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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