改訂新版 世界大百科事典 「デコブラ」の意味・わかりやすい解説
デコブラ
Maurice Dekobra
生没年:1888-1973
フランスのジャーナリスト,小説家。本名テシエMaurice Tessier。さまざまな新聞の特派員として世界各地でひろめた豊かな見聞が,小説家としての彼の視野を独特なものにしている。主として両次大戦間にたくさんの大衆小説を書いたが,その異国情緒,多彩な国際色が人気を得て,多くの読者を獲得した。通俗的な筆致ながら,現代社会への鋭い批評が苦いユーモアの下に隠されてもいる。しかし今日では,斬新な題名が人びとの記憶に残るだけで,ほとんど忘れられている。評判を取った作品として,《スローモーションのわが心臓》(1924),《寝台車のマドンナ》(1925),《白昼夢のゴンドラ》(1926),《死刑執行人へのセレナーデ》(1928)などが挙げられる。
執筆者:若林 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報