白昼夢(読み)ハクチュウム

  • daydream
  • はくちゅうむ ハクチウ‥
  • はくちゅうむ〔ハクチウ〕
  • 白昼夢 daydream

世界大百科事典 第2版の解説

白日夢ともよばれ,覚醒時の意識の統制作用,現実指向性,注意の転動性が弱まった,放心状態における空想で,願望や感情を基盤に起こってくる。この傾向をもつ人を〈覚めて夢みる人〉というように,この状態は夢になぞらえられるが,夢のように睡眠のレム期という特別な意識状態と結びついてはいない。内容は現実遊離的,一方向的であるが,夢と違って意識的作用を伴っており,能動性を有する心像である点で幻覚とも異なっている。子ども,とくに13歳から16歳の年ごろに盛んであるが,大人でも珍しくなく,現実には満たされない欲求をその中で満たしていることが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

覚醒(かくせい)時におこる夢に似た意識状態において、さまざまな状況を思い描き、空想にふけることで満たされない願望を満たそうとするもの。白日夢ともよばれる。幼児や児童においては一般にみられるものであり、子供たちはひとり遊びのなかで空想の物語やドラマの主人公を演じる。これは子供の心的発達が未熟で、現実と空想の区別が明確でないため両者が相互に浸透しやすいからである。大人の白昼夢においても幼児的な野心、誇大妄想、性的願望があからさまに示されるが、夜の夢に比べると二次的加工が優勢でシナリオに統一がある。フロイトによれば、空想は大人に許された自然保護区のようなもので、こうした個人的で特殊な願望充足的な空想から一般的で普遍的な空想を創造するのが詩人であるという。

[川幡政道]

『フロイト著、高橋義孝訳「詩人と空想すること」(『フロイト著作集3』所収・1969・人文書院)』『ジェローム・L・シンガー著、小山睦央・秋山信道訳『白日夢・イメージ・空想 幼児から老人までの心理学的意義』(1981・清水弘文堂書房)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 目が覚めているときに、ひとりでに空想や想像が視覚性などを帯びて現われ、それにふけって放心状態となること。また、その非現実的な映像。転じて、非現実な空想をたくましくすること。白日夢。
※陰獣(1928)〈江戸川乱歩〉一〇「私があの奇怪な白昼夢(ハクチウム)へと引込まれて行くきっかけとなった」

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