セレナード(読み)せれなーど(英語表記)serenade 英語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セレナード」の意味・わかりやすい解説

セレナード
せれなーど
serenade 英語
sérénade フランス語
Serenade ドイツ語

音楽用語。16世紀以後「夕べの音楽」を意味し、小夜(さよ)曲または夜曲とも訳される。(1)夜、恋人の窓辺でギターを奏でながら歌う歌。この元来の用例名残(なごり)はモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』(1787)などのオペラにみられるが、19世紀以降グノーの『セレナード』(1855)のように、独立した独唱曲の標題にもなった。(2)多楽章構成とディベルティメントに似た軽い性格を特徴とする、古典派時代に盛んに作曲された管弦楽曲。モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』Eine kleine Nachtmusik(1787)や『ハフナー・セレナード』Haffner Serenade(1776)は有名。(3)とくにバロック時代に王侯貴族の慶事を祝うため、または政治的機会に作曲された大規模なカンタータ、あるいは劇的性格の曲。この場合には通例イタリア語のセレナータserenataという語が用いられる。

[寺本まり子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セレナード」の意味・わかりやすい解説

セレナード
serenade

「夕べの音楽」の意。 (1) カッサシオン,ディベルティメントなどと類似楽曲で,室内オーケストラあるいは管楽器のための多楽章形式をとる。 18世紀,夕べのもてなしや憩いとして人々に聞かせるために作られた。 W.モーツァルトの7曲のセレナードと『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』はその典型。 (2) 慕情を捧げる女性の窓辺で男性が歌う愛の歌。モーツァルトのオペラ『ドン・ジョバンニ』のなかの"Deh vieni alla finestra",F.シューベルトの"Ständchen"などがある。

セレナード
serenade

1幕のバレエ。振付 G.バランシン。音楽チャイコフスキーの『弦楽のためのセレナード』。 1935年アメリカン・バレエ・シアターによりニューヨークで初演。その後,ニューヨーク・シティー・バレエ団や,モンテカルロ・バレエ団などのレパートリーになった。抽象的でロマンチックな内容の作品。

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