ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥルバイ・アヤラ」の意味・わかりやすい解説
トゥルバイ・アヤラ
Turbay Ayala, Julio César
[没]2005.9.13. ボゴタ
コロンビアの政治家。大統領(在任 1978~82)。レバノン系移民の中流家庭に生まれ,国立商業学校およびボテロ大学で教育を受けた。1943~53年まで下院議員を務め,自由党党首となる。1957年に鉱山エネルギー大臣,1958年にはカマルゴ政権下で外務大臣に就任した。1962~69年,2期連続で上院議員に選出。1967~69年国際連合大使を務め,20年間断絶関係にあったソビエト連邦との国交回復交渉を担当した。1973~75年に駐イギリス大使,1975~76年には駐アメリカ合衆国大使を歴任。1978年の大統領選挙では,激しい選挙運動を展開した末,保守党候補のベリサリオ・ベタンクールを僅差で破った。労働者や学生のデモ,ゲリラ勢力の活動,麻薬密輸といった問題が続くなかで大統領に就任。個人の自由やメディアの報道を制限し,民間人をテロ容疑により軍事法廷で裁くことを可能にする治安維持法の制定を断行した。1980年,ゲリラ軍が約 50人を人質にとりドミニカ共和国大使館を占拠した際,トゥルバイは 61日で事件を無血決着させ,その手腕を高く評価された。翌 1981年,ゲリラ勢力による誘拐事件や銀行・軍施設襲撃事件が多発。トゥルバイは,ゲリラ勢力を支援しているとしてキューバとの外交関係を断絶した。1982年の大統領選挙では再選が禁止されていたため,ベタンクールが大統領の座を継いだ。
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