日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベタンクール」の意味・わかりやすい解説
ベタンクール
べたんくーる
Rómulo Betancourt
(1908―1981)
ベネズエラの政治家。同国民主政治の基礎を築いた大統領(在任1959~1964)。カラカス近郊に生まれ、カラカス中央大学に学ぶ。1928年に反ゴメス独裁の学生運動を組織、亡命・地下活動のなかで著作と新聞発行を続け、反政府組織の民主行動党(AD)を結成した。1945年に一部軍人と組んでクーデターに成功し、改革に着手するが、保守派に追われる。しかしペレス・ヒメネスの独裁に対する幅広い反対運動を指導して、1958年に大統領に選出され、農地改革や民族主義的な石油政策を実施。改革政策に反対する極右と極左ゲリラ勢力を抑え、平和裏にキリスト教社会党(COPEI)に政権を移譲して、二大政党による文民支配を定着させた。
[乗 浩子]