トクビレイワシ(英語表記)Mirapinna esau

改訂新版 世界大百科事典 「トクビレイワシ」の意味・わかりやすい解説

トクビレイワシ (特鰭鰯)
Mirapinna esau

トクビレイワシ目トクビレイワシ科の海産魚。腹びれ胸びれの前下方にあり,うちわのように大きく広がっているのが特徴。大西洋の亜寒帯域から見つかっている。体は側扁し,背びれとしりびれは体の中心より後方で相対する。尾びれは大きくうちわ状。ひれにはとげがなく,すべて軟条からなる。体長4cmになる。体は黒褐色。体長は,最大長1~1.5mmに達するじゅう毛様の小突起で覆われ,うろこがない。毛様突起に分泌腺が多く見られ,分泌物のにおい,味または毒性などにより敵から逃れる可能性も指摘されている。口は斜め前方に小さく開き,若干の伸出は可能である。本種は,1956年にリボンイワシEutaeniophorus festivusほか2種とともに新しい目,つまりトクビレイワシ目魚類として発表された。採集頻度がきわめて低く,研究材料が十分でないために,このグループと他の魚類との類縁関係については未知の点が多い。日本付近からはリボンイワシだけが知られるが,この種は太平洋,インド洋,大西洋など世界的分布を示す。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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