トリアジン(英語表記)triazine

改訂新版 世界大百科事典 「トリアジン」の意味・わかりやすい解説

トリアジン
triazine



窒素3原子をもつ6員環芳香族複素環化合物。窒素の位置によって上に示す3種の異性体がある。aはvic-トリアジンとよばれるが,あまり重要ではない。bはas-トリアジンともよばれる淡黄色油状物。沸点156℃(740mmHg),融点16~17.5℃。cはs-トリアジンともよばれる揮発性結晶。融点85℃。シアヌル酸,イソシアヌル酸,メラミンなどの骨格物質。形式的にはシアン酸HCNの三量体。多くのトリアジン誘導体や芳香族ニトリルの縮合反応によって合成される。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「トリアジン」の解説

トリアジン
トリアジン
triazine

C3H3N3(81.08).N原子3個とC原子3個からなる複素六員環をいう.次の3種類の異性構造があるが,1,3,5-トリアジンがもっともよく研究されていて,そのほかはあまり重要ではない.1,3,5-トリアジンはホルムアミジン塩酸塩とジホルムアミドナトリウムとの反応で得られる.揮発性固体.融点86 ℃,沸点114 ℃.エタノール,エーテルに可溶.水の上に落とすと,その高い蒸気圧と表面張力によるライデンフロスト現象(Leidenfrost phenomenon)すなわちショウノウ踊り(camphordancing)を呈する.1,2,4-トリアジンは淡黄色の油状物質.融点16~17.5 ℃,沸点156 ℃.1.5149.1,2,3-トリアジンは板状晶.融点69.5~71 ℃.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリアジン」の意味・わかりやすい解説

トリアジン
triazine

窒素3原子と炭素3原子から成る六員環の有機化合物。複素環の一種で,誘導体が多数知られているが,骨格そのものに相当する化合物は不安定で知られていない。誘導体の例としてはメラミンがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android