トリフィン案(読み)トリフィンあん(その他表記)Triffin plan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリフィン案」の意味・わかりやすい解説

トリフィン案
トリフィンあん
Triffin plan

1958年にエール大学の R.トリフィンが『金とドルの危機』 (1960) のなかで提唱した世界中央銀行創設案。トリフィンは以下のように主張した。基軸通貨をマネタリー・リザーブとして保有する金為替本位制度のもとで,世界経済が持続的に成長するためにはある程度の国際流動性の持続的増加が必要である。国際流動性が増加するには,基軸通貨国の持続的な国際収支赤字が必要である。しかし,こうした状態が続けば基軸通貨に対する信認が低下し,流動性の確保と基軸通貨に対する信認にはジレンマが生ずる (→流動性ジレンマ ) 。これを解決するためには,各国から国際通貨基金 IMFに預託させ,その預託金の見返りとして世界準備通貨「バンコール」を発行し,各国の預金勘定に預託金相当額を振込むといった国際通貨体制の抜本的改革が必要である。トリフィンはこうした改革を通じて世界経済の持続的成長に必要な国際流動性の円滑な供給をはかろうとした。この案はドラスチックで実現性に乏しかったが,その後のSDR創出の議論に影響を与えた。

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