改訂新版 世界大百科事典 「トリフェニルメタン染料」の意味・わかりやすい解説 トリフェニルメタン染料 (トリフェニルメタンせんりょう)triphenylmethane dye 塩基性染料の一種で,その分子構造はメタンを中心として3個の芳香族アミン(複素環も含めて)が点対称のような形で連なっている。また塩基性染料であるため,一般には分子内の1個のアミノ基はカチオン(陽電荷)となっているのが普通であるが,スルホン酸基をもつアニオン型の酸性染料もある。歴史的には1856年W.H.パーキンが最初に発見したモーブなる染料もこの近縁とみられるので非常に古い。色が鮮明で濃色の反面,染色堅牢度が低いのが特徴であったが,塩基性染料のあるものはアクリル繊維を美麗に染め,また耐光性も高いことが見いだされた。現在のカチオン染料の元祖とみることもできる。執筆者:新井 吉衞 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by