日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルナトーレ」の意味・わかりやすい解説
トルナトーレ
とるなとーれ
Gouseppe Tornatore
(1956― )
イタリアの映画監督。シチリア州パレルモ県バゲリア生まれ。1973年より8ミリを用いたドキュメンタリー映画の製作をはじめ、ナポリの犯罪組織カモッラの首領を主人公とした監獄映画『教授と呼ばれた男』(1986)で劇映画の監督としてデビュー。映画監督の少年時代における映画愛と初恋を感傷的に綴った『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)で、アカデミー外国語映画賞を獲得。閉鎖的な空間に押し込められた主人公が、脱出願望と胎内回帰的な安心との相反感情の間で揺れ動くというスタイルは、アレッサンドロ・バリッコAlessandro Baricco(1958― )のモノローグ劇を原作とする『海の上のピアニスト』(1998)で頂点に達した。『明日を夢見て』(1995)、『マレーナ』(2000)、『シチリア!シチリア!』(2009)と、シチリアに対する郷愁と批判を織り込んだ作品群を発表し続ける。
[西村安弘]
資料 監督作品一覧(日本公開作)
教授と呼ばれた男 Il camorrista(1986)
ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo cinema paradiso(1988)
みんな元気 Stanno tutti bene(1990)
記憶の扉 Una pura formalità(1994)
明日を夢見て L'uomo delle stelle(1995)
夜ごとの夢 イタリア幻想譚[第一夜・青い犬] La domenica specialmente - Il cane blu(1996)
海の上のピアニスト La leggenda del pianista sull'oceano(1998)
マレーナ Malèna(2000)
題名のない子守唄 La sconosciuta(2006)
シチリア!シチリア! Baarìa(2009)