日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルートンの通則」の意味・わかりやすい解説
トルートンの通則
とるーとんのつうそく
Trouton's rule
1モル当りの気化熱と、沸点の絶対温度との比が物質によらずほぼ一定であるという経験則。1884年イギリスの物理学者トルートンFrederick Thomas Trouton(1863―1922)が指摘した。トルートンの規則ともいう。気化熱をカロリー単位で表すと、この値はほぼ21calK-1となる。この比はちょうど気化のエントロピーと対応するが、非会合性の液体で分子量が100前後のものについては非常によく成立する。水やエタノール(エチルアルコール)のように会合性の大きな液体では、この比はずっと大きくなるし、水素やヘリウムなどのように、非常に沸点が低く、かつ低分子量のものでは、この比はずっと小さくなってしまう。これらを異常液体という。
[山崎 昶]