デジタル大辞泉
「エチルアルコール」の意味・読み・例文・類語
エチルアルコール(〈ドイツ〉Äthylalkohol)
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精選版 日本国語大辞典
「エチルアルコール」の意味・読み・例文・類語
エチルアルコール
- 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Äthylalkohol ) 脂肪族飽和アルコールの一つ。化学式 C2H5OH 無色透明で芳香のある液体。天然にはエチルエステル、エーテルなどとして存在。工業的にはでんぷんの発酵によってつくられたが、現在はエチレン、アセチレンから合成されるようになった。消毒・殺菌作用、大脳の制止機能の抑制作用などがある。アルコール飲料、溶剤、不凍剤、燃料、医薬品、分析用試薬などに用いられるほか、酢酸エチル、エチルエーテル、クロロホルム、ヨードホルムなどの化学工業原料として重要。単に「アルコール」という場合にはこれをさす場合が多い。エタノール。酒精。
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エチルアルコール
ethyl alcohol
単にアルコールとよばれることが多く,またエタノールethanolともいわれる。化学式C2H5OH。各種のアルコール飲料に含まれているので酒精spirit of wineともいう。酒として有史以前から人類に親しまれていたが,酒酔いの原因であることが確かめられたのは15世紀である。
性質
揮発性で,特異な芳香と味をもつ無色の液体。麻酔性がある。融点-114.5℃,沸点78.32℃,比重0.79(30℃)。水,エーテルなどによく混和する。水と混合の際に熱を発し,体積が収縮する。点火すると淡い藍色の炎をあげて燃える。蒸気に引火すると爆発することがある。引火点9~32℃,爆発限界3.3~19.0容量%。酸化するとアセトアルデヒドCH3CHOを経て酢酸CH3COOHとなる。
苛性ソーダとヨウ素を加えて熱するとヨードホルムを生じ,これはエチルアルコールの検出に用いられる。また金属ナトリウムを加えると,水素を発生しナトリウムエチラートC2H5ONa(ナトリウムエトキシドともいう)を生じ,これは有機合成反応の縮合剤や触媒に用いられる。工業用アルコールは無税の取扱いをうけており,これが飲料用に転用されるのを防ぐために毒性の強いメチルアルコールが混入され,変性アルコールとよばれている。エチルアルコールを混入したガソリンはガソホールgasoholとよばれ,自動車用燃料として実用に供されている。
製法
工業的には,デンプンや糖みつなどを原料とする発酵法(アルコール発酵)とエチレンを原料とする合成法の2法がある。合成法はエチレンC2H4への硫酸H2SO4の付加とその付加体である硫酸エチルC2H5HSO4の加水分解の2段階で行われる。
C2H4+H2SO4─→C2H5HSO4
C2H5HSO4+H2O─→C2H5OH+H2SO4
アルコールは水と共沸混合物をつくるので,蒸留では96%のアルコールしか得られない。生石灰を加えて煮沸後蒸留すると99.5%程度となり,さらに金属カルシウム,ベンゼンなどを加えて再び蒸留すると微量の水を除くことができる。99.5%以上のアルコールを無水アルコールという。
用途
タンパク質を凝固させる性質を利用した消毒殺菌剤(殺菌力は水に対する濃度70%のとき最大),飲食料用,エーテルや各種エステル製造のための化学工業用原料,溶剤などに用いられる。
執筆者:中井 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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「エチルアルコール」の意味・わかりやすい解説
エチルアルコール
化学式はCH3CH2OH。エタノール,酒精,また単にアルコールとも。芳香のある無色の液体。融点−114.5℃,沸点78.32℃。水,有機溶媒と任意の割合に混ざる。可燃性。麻酔性,殺菌作用がある。酸化するとアセトアルデヒドを経て酢酸となる。アルコール性飲料,溶媒,有機薬品の製造原料,殺菌剤などとして用いられる。工業的にはアルコール発酵やエチレンからの合成により製造。工業用にはメチルアルコールなどで変性したものを使用(変性アルコール)。
→関連項目アルコール|酒|殺菌剤|メチルアルコール
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エチルアルコール
ethyl alcohol
エタノールともいう。化学式 C2H5OH 。各種アルコール飲料に含まれているため,酒精とも呼ばれる。日本酒 15%,ビール2~6%,ウイスキーには 35~43%含まれる。デンプン,糖の発酵によって生成され,副生成物としてフーゼル油を生じる。蒸留によって精製する。純粋なアルコールは沸点 78.3℃。水と自由に混合し,また水と共沸混合物をつくる。吸湿性があるので,アルコール脱水には注意を要する。脱水には酸化カルシウムが用いられる。さらに金属カルシウム,またはマグネシウムを加え,蒸留して微量の水分を除く。工業的にはベンゼンを加え,蒸留することによって水を3成分 (水,アルコール,ベンゼン) として留去する。エチルアルコールは水および他の有機溶媒と自由に混合する。無機物もある程度溶解する。通常,市販無水アルコールは 99.11%以上のものをいう。還元されにくく,酸化するとアセトアルデヒドを経て酢酸を生成する。
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エチルアルコール
エチルアルコール
ethyl alcohol
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のエチルアルコールの言及
【アルコール】より
…ベンゼン核のような芳香核に直接水酸基が結合したものはフェノールと総称され,アルコールとは区別される。[エチルアルコール]C2H5OHを単にアルコールと略称することが多い。アルコールという名はアラビア語に由来し,alは定冠詞,kuḥlは微粉末を意味する。…
※「エチルアルコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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