改訂新版 世界大百科事典 「トレスガルシア」の意味・わかりやすい解説
トレス・ガルシア
Joaquín Torres García
生没年:1874-1949
ウルグアイの画家。カタルニャ人を父にモンテビデオで生まれ,バルセロナで教育を受け,同地で工房を開く。本のイラスト,教会装飾,ガウディの作品への協力,子どものための絵画教育実験学校を主催するなど,40歳ころにはバルセロナ文化人の中心として活躍。1910年から32年までパリ在住。モンドリアンら当時の前衛画家たちとの交流に刺激され,さまざまな絵画様式を研究,この時期に1500点以上の作品を残す。32年にウルグアイへ帰り,構成主義美術協会や工房を設立し,数多くの講演会や個展を催し,5冊の著作と壁画作品多数を残すなど,芸術の後進地帯だったラ・プラタ地域の啓蒙に尽力した。絵画制作を理性の作業とし,対象を限定された抽象形に還元し,画面を誰にでも一目で認識できる象徴で構成しようとした,構成主義を自己流に展開したウニベルサリスモuniversalismoを提唱。
執筆者:加藤 薫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報