日本大百科全書(ニッポニカ) 「トレス」の意味・わかりやすい解説
トレス(Camilo Torres Restrepo)
とれす
Camilo Torres Restrepo
(1927―1966)
コロンビアのカトリック神父、社会学者。聖職にありながら社会改革に取り組み、ゲリラに身を投じたところから「解放の神学者」の先駆者の一人といわれる。ボゴタの名門出身で、ローマ・カトリック神学校で学んだのち、1954年ベルギーのルーバン大学で社会学、とくに都市の貧困問題を研究した。1959年末に帰国し、司祭を務めるかたわら国立大学に社会学部を創設、その部長となった。1962年大学紛争で教職を捨て、農地改革局のメンバーとして土地改革などに取り組んだ。1965年、社会改革のためには権力を握らなければならないという考えからゲリラ組織の民族解放軍に加わり、1966年2月政府軍との戦闘で死亡した。
[後藤政子 2017年11月17日]
トレス(Luiz Váez de Torres)
とれす
Luiz Váez de Torres
生没年不詳。スペインの航海者。一説にフランス生まれ。1605年12月、幻の南方大陸を求めてペドロ・フェルナンデス・デ・キロスPedro Fernández de Quirós(1565―1615)に従いペルーのカヤオを出航、翌1606年6月キロスと別れて南緯21度まで下る。大陸発見はならず北西に転じ、ヨーロッパ人として初めてオーストラリア大陸北端とニューギニア島南岸間の海峡(のちのトレス海峡)を通過。同大陸を見たとしても、島と錯覚した可能性が高い。モルッカ諸島を経て1607年5月マニラに到着。その後同地で死亡したらしい。
[越智道雄]