日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドフラインクラゲ」の意味・わかりやすい解説
ドフラインクラゲ
どふらいんくらげ
[学] Nemopsis dofleini
腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロ虫目エダアシクラゲ科に属するクラゲ。傘は浅い釣鐘形、高さ1センチメートル余り、直径1センチメートルほどであり、寒天質はきわめて厚い。口柄(こうへい)は短小で、その下端の口を取り巻き4個の口唇があり、そのおのおのは二叉(にさ)状に約8回ほど分岐した口縁触手となっている。放射管は4本。生殖腺(せん)は口柄上から放射管の半分近くまでに沿って伸びており、リボン状でひだがある。傘縁(さんえん)には各正軸部に約40本に達する触手が集まって一列をなし、それらのうち中央の2本だけは短く棍棒(こんぼう)状である。各傘縁触手の基部内側には眼点がある。生殖腺および口縁触手は淡褐色、眼点は濃褐色である。本種のポリプは群体をつくらず単体で小形、その口の周りに十数本の糸状触手をもち、そのヒドロ花上に水母芽(すいぼが)が生ずる。日本の沿岸には春季から夏季に普通にみられ、また樺太(からふと)(サハリン)からも知られる。本種は、明治末期にF・ドフラインが東京湾で採集した標本に基づいて、O・マースにより初めて記載されたのにちなんでこの名がある。
[山田真弓]