ドリフト速度(読み)ドリフトソクド

化学辞典 第2版 「ドリフト速度」の解説

ドリフト速度
ドリフトソクド
drift velocity

荷電粒子が気相媒体中を電場の作用により運動した場合の電場方向の直線速度をいう.一般にランダム速度の数百分の1である.ドリフト速度は荷電粒子の移動度と電場の積であり,媒体の性質とその圧力と電場の強さに依存する.ドリフト速度は電子スウォーム法で,物質電子捕獲断面積を測定する際の電子の平均エネルギーを決定する重要なパラメーターの一つであり,光による光電子放射などで電子をパルス状に発生させて,一定の距離を通過する時間を測定して決定する.また,イオン-分子反応の研究で,イオンをHeなどの媒体中でドリフトさせてドリフト速度でエネルギーを決定し,媒体中での反応物質との反応速度のイオンエネルギー依存性を測定するドリフト管法がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のドリフト速度の言及

【電気伝導】より

…これらの担体は,格子振動や不純物によって不規則な散乱を受けながら,平均としては電場方向,またはその逆方向に流れている。この流れの速度はドリフト速度と呼ばれ,電場の強さに比例するが,その比例係数である移動度は,μe=|e|τe/meh=|e|τh/mhで与えられる。ここで添字e,hは電子および正孔を意味し,me,mhは電子および正孔の有効質量である。…

※「ドリフト速度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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