日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナディーム」の意味・わかりやすい解説
ナディーム
なでぃーむ
Abū 'l-Faraj al-Nadīm
(936―995?)
中世イラクのアラビア語著述家。バグダードで写本を業としながら、988年に『フィフリスト(目録)』を書いた。これは、当時知られていたあらゆる分野の文献を分類し、諸言語、文字、言語学、歴史、詩歌、神学、法学、哲学、寓話(ぐうわ)と魔法および諸宗教と錬金術の各部に種々の注釈を加えて記録したもので、中世アラビアの各種文献を知るための最良の手引とされる。ここに記された莫大(ばくだい)な文献の大多数は今日未発見のままである。この写本はドイツの東洋学者G・フリューゲルにより研究され、没後の1871~72年にレディガーとミュラーにより刊行された。
[矢島文夫]