日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ニザーミー・アルーズィー
にざーみーあるーずぃー
Niāmī 'Arūī
(?―1160ころ)
ペルシアの散文家。サマルカンドの出身。長年にわたりアフガニスタンの支配者ゴール朝に仕えた。生涯はほとんど不明だが、1156年に執筆の『四つの講話』によりペルシア文学史上に名声を得た。この書では、王の側近として不可欠な人物、書記、詩人、占星術師、医師に関し、その本質を述べたあと、著名な人物がそれぞれの分野にわたり興味深い逸話とともに取り上げられている。とくに詩人に関する講話が名高く、ペルシア詩人研究の一流の資料と目される。医師に関する講話も中世イスラム医学研究に貴重な資料を提供している。流麗な文体により散文作品としても高い評価を得ている。
[黒柳恒男]
『黒柳恒男訳『ペルシア逸話集』(平凡社・東洋文庫)』