日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニシキアナゴ」の意味・わかりやすい解説
ニシキアナゴ
にしきあなご / 錦穴子
splendid garden eel
[学] Gorgasia preclara
硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科チンアナゴ亜科に属する海水魚。奄美(あまみ)大島、伊江島(いえじま)、フィリピン、モルジブ、パプア・ニューギニアなどの海域に分布する。ガーデンイールの仲間で、左右の上唇の遊離縁は吻端(ふんたん)でつながらないこと、前鼻孔(ぜんびこう)と感覚孔は遊離縁の間にあることなどでシンジュアナゴ属に属する。体は細長く、尾端は肉厚。肛門(こうもん)前長(吻端から肛門までの長さ)は全長の43~47%、肛門前の側線孔数は少なく11~16。頭部の感覚孔はよく発達し、明瞭(めいりょう)である。上下両顎(りょうがく)と口の背面の歯は数列に並び、後半部でほとんど1列になる。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)の最後の数個は1列。体に幅が狭い白色の帯状斑(はん)と幅が広い橙褐色(とうかっしょく)~橙黄色の帯状斑が交互に並ぶ。最大全長は約40センチメートル。水深18~75メートル、普通は18メートルほどの砂中にすみ、体の前部を出して流されてくるプランクトンを食べる。単独あるいは小さい集団で生息する。日本にはシンジュアナゴ属に本種以外にシンジュアナゴとアキアナゴの2種がいるが、それらは体に横帯がなく、肛門前側線孔数は多くて29~44であることで本種と異なる。
[尼岡邦夫 2019年11月20日]