シンジュアナゴ(読み)しんじゅあなご(その他表記)Pacific spaghetti eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンジュアナゴ」の意味・わかりやすい解説

シンジュアナゴ
しんじゅあなご / 真珠穴子
Pacific spaghetti eel
[学] Gorgasia japonica

硬骨魚綱ウナギ目アナゴ科チンアナゴ亜科に属する海水魚。八丈島、高知県柏島(かしわじま)、台湾南部、海南島、ニュージーランド北部などの海域に分布する。体はきわめて細長く、前方ではいくぶん側扁(そくへん)し、後部ではやや円筒形肛門(こうもん)は体の前半分にあり、肛門前長(肛門から吻端(ふんたん)までの長さ)は肛門から尾端までの距離の約66.5%。頭は非常に小さくて、全長のおよそ3.8%。頭高は体高よりもわずかに低く、頭長の30%以下である。吻は眼径よりわずかに短い。吻は上から見ると三角形。両眼間隔幅は眼径におおよそ等しい。下顎(かがく)は上顎より突出する。両唇の幅が広くて、上唇は三角形。鰓孔(さいこう)は体側のおよそ中央に開き、きわめて小さく、胸びれ長のおよそ半分。前鼻孔(ぜんびこう)は管状で、左右の上唇の間の吻の中央近くに開く。後鼻孔は管状でなく、吻の中間に位置する。上下両顎には短い円錐歯(えんすいし)が歯帯を形成し、前部のもっとも幅が広いところでは4~5列に、後部では1列になる。上顎間骨+鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)の歯は両顎歯と同じで、前部では歯帯に、後部では2~3列になる。側線孔はきわめて明瞭(めいりょう)で、胸びれ基底直後から臀(しり)びれの始部までに約29~35個、そこから尾端までに約53~57個。背びれは高く、胸びれの基底上方から始まる。臀びれは背びれより低く、肛門のやや後ろから始まり、尾端近くまで伸びる。尾びれは退化的か、ほとんどない。胸びれはきわめて短く、およそ眼径に等しい。体は茶褐色で、頭と体の側線孔の周りは白い。背びれは黒くて、縁辺は白い。最大全長は99センチメートル。台湾では水深26メートルに生息している。サンゴ砂中に潜り、体の前半分ほどを出して水流に向かって流れてくるプランクトンなどを食べる。通常コロニーを形成する。ガーデンイールの一種で、和名は体側の白色斑(はん)に由来する。アキアナゴに似るが、本種には側線孔上に白色斑があること、肛門前の側線孔数は29~35(アキアナゴは37~44)であることなどで区別できる。

[尼岡邦夫 2019年6月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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