日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニンギョウトビケラ」の意味・わかりやすい解説
ニンギョウトビケラ
にんぎょうとびけら / 人形石蚕
人形飛螻
oerid caddi
昆虫綱トビケラ目エグリトビケラ科ニンギョウトビケラ属の昆虫の総称、あるいはそのなかの1種。この類は、成虫は黄褐色、毛に覆われる。触角第1節は伸長・肥大している。
ニンギョウトビケラGoera japonicaは、前翅(ぜんし)長約10ミリメートル、中形のトビケラ。幼虫は亜蚕児(さんじ)型、小砂粒をつづり合わせ円筒形の巣をつくり、その両側端に数個の大砂粒を付着させる。巣の形が人形に似るため、江戸期から銘物とされ、現在も山口県岩国では名産「人形石(いし)」として売られる。おもに河川に生息し、山地渓流から平地河川まで広く分布する普通種。ときには池沼でもみられる。水底に付着する藻類などを餌(えさ)とする。
[谷田一三]