日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌマジカ」の意味・わかりやすい解説
ヌマジカ
ぬまじか / 沼鹿
marsh deer
[学] Odocoileus (Blastoceros) dichotomus
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。アメリカヌマジカともいう。南アメリカ産のシカ類のなかでは最大種で、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン北部などに分布するが、絶滅の危機に瀕(ひん)しており、ウルグアイではすでに絶滅したようである。肩高110~120センチメートル、体重100~150キログラム。夏毛は美しい黄赤色を呈するが、冬毛は赤褐色となる。尾はわりに長く房毛で、驚くと尾を立てる。名のとおり沼地、河川、小川周辺の森林にすみ、水草を主食とする。湿地帯を歩きやすいように、ひづめは長く7、8センチメートルに達し、大きく広げることができ副蹄も長い。単独か、1頭の雄および数頭の雌と子からなる6頭ぐらいの小群で暮らし、夜明けごろと夜間に活動する。角(つの)は大きく落角時期は一定していない。妊娠期間は12か月で、1産1子を産む。
[増井光子]