石井桃子作の長編童話。1947年(昭和22)大地書房刊。母と兄に置いてきぼりにされた優等生ノンちゃんは大泣きしながら木に登り、落ちて気絶している間に、下の池の水に映る雲の世界に行く。助けてくれた雲のおじいさんに家族の話をするうちに、ノンちゃんは自分を含めて皆を新しい目で見直すようになる。イギリスの女流児童文学作家ネズビットが魔法を借りて実は現実の子供の世界の諸相を探ったように、空想物語の枠を借りて、女の子の目を通じて子供の感受性や意識の目覚めの過程の具体的なありようを描き出した作品。戦後の日本児童文学に新しい児童像を提供した。
[猪熊葉子]
『『ノンちゃん雲に乗る』(角川文庫)』▽『『ノンちゃん雲に乗る』(1967・福音館書店)』
1 《「礼記」月令から》カワウソが自分のとった魚を並べること。人が物を供えて先祖を祭るのに似ているところからいう。獺祭魚。おそまつり。うそまつり。2 《晩唐の詩人李商隠が、文章を作るのに多数の書物を座...