ノンフィクション・ノベル(読み)のんふぃくしょんのべる(その他表記)nonfiction novel

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ノンフィクション・ノベル
のんふぃくしょんのべる
nonfiction novel

ノンフィクション・ノベルは、歴史上の事実やできごと、作者の個人的経験、ある人物の生涯などを作品の正面に据え、作家の想像力でそれらに肉づけし、より臨場感をもたせて描き出した小説。たとえば、実際に起こった殺人事件を題材にしたカポーティの『冷血』(1966)、黒人奴隷反乱を扱ったスタイロンの『ナット・ターナーの告白』(1966)、自己の民族的原点を追求したアレックス・ヘイリーの『ルーツ』(1976)などはこの範疇(はんちゅう)に入り、作者の主観を極力抑えた叙述特色となっている。

[平野信行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のノンフィクション・ノベルの言及

【ノンフィクション】より

…しかし事実の意味も多義的なものであり,絶えず読み直されるものである。アメリカの作家T.カポーティは,実際に起きた一家4人皆殺し事件を,犯人をはじめ事件の関係者からのインタビューをもとに《冷血》(1966)に仕立て,〈ノンフィクション・ノベルnonfiction novel〉の語を定着させた。また,A.ヘーリーは自分の祖先を探し求めた作品《ルーツ》(1976)を〈ファクションfaction〉(factとfictionの合成語)と呼んだ。…

※「ノンフィクション・ノベル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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