ハナビラウツボ(読み)はなびらうつぼ(英語表記)Turkey moray

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナビラウツボ」の意味・わかりやすい解説

ハナビラウツボ
はなびらうつぼ / 花片鱓
Turkey moray
[学] Gymnothorax chlorostigma

硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。和歌山県串本(くしもと)町、高知県柏島(かしわじま)付近の太平洋沿岸、屋久島(やくしま)、南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島、南鳥島、台湾など太平洋・インド洋に分布する。体は細長く、側扁(そくへん)する。尾部では後部ほどよく側扁する。脊椎骨(せきついこつ)数は119~132。吻端(ふんたん)はやや丸い。上下両顎(りょうがく)はほとんど直線状。前上顎骨板の中央部の歯はおよそ3列で鋭い。主上顎骨の歯は2列に並び、内列歯は外列歯より細長い。鋤骨歯(じょこつし)(頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯)は主上顎骨歯より小さい。背びれ鰓孔(さいこう)の前方の上方から始まる。体は小豆(あずき)色~黒褐色の地に、円形の白色の小斑紋(はんもん)がある。白色斑がつながる個体もみられる。尾端部にある白斑は、前方へ分枝を出す。口内は一様に白い。最大全長は約1メートル。沿岸のサンゴ礁域にすみ、体の大部分をサンゴ礁の割れ目に隠し、体の前部を出して獲物を待ち受ける。おもに魚類甲殻類などを食べる。本種とよく似た体色をしているシモフリタナバタウオは、危険が迫ると身を守るために頭部をサンゴ礁の割れ目に突っ込み、本種の姿勢をまねるベイツ型擬態(無害生物が有害生物にまねる)をする。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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