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体色 たいしょくbody colour

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

体色
たいしょく
body colour

動物の皮膚,羽毛,毛など体表面の色彩ヘモグロビンや,メラニングアニンなどの色素や,代謝の最終産物である色素顆粒などによる色素色または化学色と,これらの色素色と体表部の物理的構造による反射光線の干渉から生じる構造色とに分けられる。単に色彩というだけでなく,斑紋や陰影,昆虫のの模様,また擬態の場合には形態も含めて考えることも多い。体色は,動物が外からほかの動物によって見られる主要特徴の一つであるから,適応的な意味をもつことが多い。擬態をも含めての保護色警告色などもその例である。同種個体間のコミュニケーション(同種の識別,婚姻色など)にも役立つ。環境条件によって体色が変わる動物も多く,カメレオンのように体色全体を変えるもの,水底のカレイ(→カレイ科)のように明暗の調子と斑紋を変えるものなどがある。冬に白く,夏に濃色になる例も,ライチョウ,ユキウサギ(→エゾユキウサギ)などしばしばみられる。

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デジタル大辞泉の解説

たい‐しょく【体色】

動物の体表面の色彩。色素の存在によるものと、鳥の羽やチョウの翅(はね)のように光の干渉や回折によるものとがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

たいしょく【体色 body coloration】

動物の体の表面が示す色。しばしば模様をも含めて論じられる。無色の動物は,ごく若い幼魚や洞穴ないし地中生のもの以外にはほとんどなく,たいていはなんらかの色と模様をもっている。これらの色はメラニン,グアニン,カロチノイドプテリンオモクロムなどの色素によるもので,体表(脊椎動物の表皮,節足動物のクチクラなど),毛,羽毛,あるいは真皮細胞や色素細胞,さらに体液や筋肉,内臓に含まれたこれらの色素の色が複雑にからみあって,外から見ると微妙な色調となって見える。

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大辞林 第三版の解説

たいしょく【体色】

動物の体表面の色。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

体色
たいしょく
colorationanimal coloration

動物の体表面が呈する色彩をいう。体色には、生体色素分子による可視光の選択的吸収の結果として着色する化学色と、それ自体では無色の組織構造、たとえば顕微鏡的大きさのひだ、縞(しま)、面、層などが、反射、干渉、散乱によって光線をその構成スペクトルに分解することにより着色する構造色とがある。[馬場昭次]

化学色と構造色

化学色には、ヘモグロビンなどの呼吸色素、メラニンやプリン類のような代謝産物、カロチノイド系色素などによる多種多様の色彩がある。これらの色素の多くは、生体から単離精製され化学的性質も明らかにされている。色素は多くの場合色素細胞に含まれていて、普通は顆粒(かりゅう)となっている。一方の構造色のうち、反射によるものとしては、鳥類の羽、毛皮、毛髪中の気泡、軟体動物やサンゴ類などの炭酸カルシウムのコロイドによる全乱反射による白色がある。干渉による着色は、チョウのはねの鱗片(りんぺん)、甲虫類の上翅(じょうし)、爬虫(はちゅう)類の体表や貝殻の真珠層などにみられる。シチメンチョウやヒクイドリの頭や頸(くび)にみられる青い皮膚は、コロイド層によって青ないし紫の光が散乱され、他の光が下層のメラニンによって吸収されたことによる。化学色は光学的に有効な微細構造と無関係に発現されるが、構造色は色素の存在によって大いに補強、強調される。[馬場昭次]

体色変化

体色が変化する動物もあるが、その原因は、色素の量が変化したり、色素細胞のうちでも大形で樹枝状の突起をもつ色素胞とよばれる細胞の中で、色素顆粒が移動、収縮、拡張することによる。収縮というのは色素顆粒が色素胞の中央に集まることで、その結果、全体として色は淡くなる。拡張のときは顆粒が細胞の突起の中にまで広がり、全体として濃くみえる。頭足類では色素胞腔(こう)に放射状に配置する筋繊維によって色素胞が懸垂されていて、この筋肉の収縮・弛緩(しかん)によって色素胞の拡張・収縮がおこる。これによってタコやイカは速やかな体色変化をすることができる。コバルトスズメでは、多層薄膜の間隔を変化させることにより干渉による構造色を変化させることができると考えられている。これらの体色変化は光、温度などの刺激により、内分泌的支配、神経支配を受けておこる。その仕組みは魚類、両生類、爬虫類、甲殻類、昆虫類でよく発達している。[馬場昭次]

体色の機能

動物の体色には、その動物の生存に利すると考えられるものがある。おそらくは自然淘汰(とうた)の結果としての適応的なものと考えられるので、広く適応色という。適応色には、動物の存在を環境の中に隠してしまうように働く隠蔽(いんぺい)色と、その反対に動物の存在を目だたせるように作用する標識色とがある。どちらの場合にも、動物の個体あるいは種の保護の役割を果たすので、保護色ということがある。とくに前者の場合、保護色ということが多い。
 隠蔽色には、ホッキョクギツネなどの雪や氷の上で生活する動物の白い体色や、植物の葉の上で生活する多くの昆虫の緑色の体色など比較的単純なものもあるが、ヨタカやカワラバッタのように、樹皮や砂地に色彩のみならず模様やきめまで類似しているものもある。コノハムシ、ナナフシ、ハゴロモ、ある種のカマキリのように、木の葉、小枝、花などに色彩ばかりか、形態や姿勢、動きなどの行動まで似せて、捕食者や獲物を欺く場合もある。このような複合的なカムフラージュを強調して擬態とよぶこともある。多くの熱帯魚、熱帯産のカエルなどで、それ自身はむしろ目だつ色彩の斑紋(はんもん)をもつために、体の輪郭がはっきりしなくなり、立体感も薄れ、かえって隠蔽効果が生ずる場合があり、分断色とよばれる。コバンヒイラギのように発光器による逆投光や、表層の海水魚や砂地にすむトカゲのように背側が腹側より色が濃いことによる反対陰影によって、影を消し隠蔽の効果を高めるものもある。いずれにしろ隠蔽の効果は、体色と背景があっている場合に高い。動物が体色にあった背景を選ぶ場合もあるが、ヒラメ、ドロメなどの魚や、多くの甲殻類のように、背景の色彩にあわせて体色を変化させる場合もある。後者の場合、背景の色彩が体色に及ぼす効果を背地効果という。
 標識色は、自己の存在を広告することによって、適応度を高めようとするもので、広告色ともよばれる。スズメバチ、テントウムシ、ヤドクガエルのように、毒針、不快なにおいや味の分泌物、毒液をもつ動物が、捕食者に対してそのことを警告して学習させ、種の保護に役だてている場合、警告色または警戒色という。捕食者にとって嫌な性質を備えていないものが、捕食者に嫌われているものと同じ警告色をもっていることによって保護されている場合、ベイツ型擬態という。アブやハエがハチをまねた擬態がこれである。また、さまざまな程度に嫌われているいくつかの種が共通の警告色をもつことによって、保護効果を高めている場合、ミューラー型擬態という。クジャクチョウの後翅などにみられる目玉模様のように、捕食者を脅かすことによって捕食を免れるのに役だっているものを威嚇色という。同種個体間での配偶行動、性行動、闘争、育児などの社会行動のリリーサーとなっている標識色を認識色という。ナミアゲハでは、雌のはねの黒地に黄色の縞模様が配偶行動の認識色である。[馬場昭次]
『日高敏隆著『動物の体色』(1983・東京大学出版会) ▽W・ヴィックラー著、羽田節子訳『擬態――自然も嘘をつく』(1983・平凡社) ▽羽根田弥太著『発光生物の話――よみもの動物記』(1980・北隆館)』

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世界大百科事典内の体色の言及

【体色変化】より

…主として色素胞の活動により動物の体色が変化すること。動物の個体あるいは種族維持にとって重要な意義をもつ現象である。…

※「体色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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