日本大百科全書(ニッポニカ) 「はめ合い方式」の意味・わかりやすい解説
はめ合い方式
はめあいほうしき
主として機械部品において、丸い穴と軸がはまり合う部分に対して、種々の機能が得られるように公差、上の寸法許容差、および下の寸法許容差を定めたもの。互いにはめ合わせる部分の寸法差によって生ずる関係をはめ合いといい、穴の寸法が軸の寸法より大きいときの寸法の差をすきま、また穴の寸法が軸の寸法より小さいときの寸法の差をしめしろという。はめ合いには、穴と軸の間にかならずすきまが存在する「すきまばめ」と、かならずしめしろが存在する「しまりばめ」、および、すきまができることもあり、しめしろができることもある「中間ばめ」の3種がある。
はめ合い方式の種類としては穴基準式と軸基準式とがある。穴基準式はH6~H10の5種の基準穴を定め、これに対し適当な種類の軸を、必要なすきま、またはしめしろができるように選ぶもので、軸基準式はh5~h9の5種の軸を基準軸としている。一般にはゲージ、工具などの製作費、部品の工作費、組立ておよび分解の作業の観点、ならびに試作品製作などから考えて、穴の種類が少なくなるため穴基準式のほうが有利であり、広く用いられている。一方、軸加工にとくに費用がかさむような場合には、軸基準式を採用することがある。しかしながら、両方式のいずれを採用するかは、工場の仕事の種類、作業方法、設備、経験などにより、決定すべきものである。
[清水伸二]