改訂新版 世界大百科事典 「ハラジロカツオブシムシ」の意味・わかりやすい解説
ハラジロカツオブシムシ
hide beetle
Dermestes maculatus
甲虫目カツオブシムシ科の昆虫。成虫は背面が黒褐色であるが,腹面はその名のように白色毛で覆われる。胸部の両側には白色毛を,上翅には淡暗両色毛を混生する。各翅端の会合部には1個の小さいとげを有する。体長6~10mm。世界各地に分布し,幼虫は干魚や魚粕,毛皮など動物質のものを広く食害する。またアカオビカツオブシムシなどとともにカイコのさなぎに集まることで知られる。野外では動物の死骸に見られる。成虫は4月ころから交尾,産卵を始める。卵は幼虫の食餌となるものに数個をかためて産みつける。雌は約3ヵ月間に200~850個を産卵。幼虫の多くは6~7回(ときには10回以上)の脱皮後に蛹化(ようか)する。幼虫の体は長楕円形で,ややシミ型。茶褐色の長刺毛に覆われる。腹部末端に1対の尾突起を有するが目だたない。発達した胸脚で食物の上を活発に歩行する。幼虫の期間は25~50日。倉庫などでは床板に穴をあけて潜り込み蛹化する。さなぎの期間は1~2週間。適温であれば1年間に3世代を繰り返すことができる。成虫で越冬する。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報