日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハービッコ」の意味・わかりやすい解説
ハービッコ
はーびっこ
Paavo Haavikko
(1931― )
フィンランドの詩人、劇作家、小説家。学生時代から詩集を発表し、その後、不動産業や出版業などに従事しながらも継続して作品を著す。『遠のく道々』(1951)をはじめとする詩集で、歴史、生と死、恋愛、貨幣や権力など多様な題材をアフォリズム的に簡潔な言葉遊びで表現し、フィンランド語詩のモダニズムを代表する詩人となる。戯曲では、ロシア・スウェーデン戦争を素材として母国を描いた韻文戯曲『騎兵』(1974)がある。これはオペラ化され、ヨーロッパで評価が高い。また、民族叙事詩『カレバラ』(カレワラ)を物語劇『鉄器時代』(1982、アメリカのノイシタット国際文学賞受賞)や『クッレルボの物語』(1982)として新たに書き起こし、詩作と同様のテーマを繰り返し提示している。歌劇では、フィンランドの長距離走者パーボ・ヌルミPaavo Nurmiについて描いた『偉大なるパーボ。偉大なる走り。偉大なる夢。』(2000)などがある。そのほかに、詩集『木々、その漲(みなぎ)る青』(1966)、小説『瑣末(さまつ)事』(1960)など数多くの作品を著している。
[末延 淳]