改訂新版 世界大百科事典 「バウヒュッテ」の意味・わかりやすい解説
バウヒュッテ
Bauhütte[ドイツ]
中世末期のドイツで教会堂の建設を専門として組織された石工を中心とする工人の組合。その長をヒュッテンマイスターHüttenmeisterという。ドイツを中心としてスイス,フランス東部にまたがる組合で,ストラスブールに本部を置き,技術者の養成,誠実な工事,紛争の調停,職業上の秘密の保持などに関する規約を組合員に守らせた。15世紀に最もよく整備されたが,その後は同業組合からの圧迫,国王・貴族の保護をうける非組合員の建築家の発生,宗教改革などの影響をうけて衰退し,18世紀初めに消滅した。
中世末期の西欧では一般に,石工や大工も他の職業と同じく仕事を確保し,その質を保証するため都市ごとに同業組合trade guild(職人ギルド)を組織したが,城郭や教会堂の建築主は貴族や聖職者なので,同業組合の制約をうけず自由に石工などの工人を雇用できた。フランス,イギリスなどの教会堂は一般にこのように自由契約による工人たちによって建設され,ドイツのような広い地域にまたがる恒久的な組織は作られなかったといわれる。
執筆者:飯田 喜四郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報