日本大百科全書(ニッポニカ) 「バスケットボールの用語」の意味・わかりやすい解説
バスケットボールの用語
ばすけっとぼーるのようご
アンスポーツマンライク・ファウル unsportsmanlike foul
ボールに対して正当なプレーと認められないフィジカル・コンタクト(プレーヤー同士の身体の触れ合い)。ショットの動作に入るプレーヤーの背後あるいは横から無謀に当たったり、まだボールが審判あるいはスロー・インするプレーヤーの手にある状態のとき、それを承知でフィジカル・コンタクトを起こした場合など。NBA(アメリカプロバスケットボール協会)のフレグラント・ファウルFlagrant foul(目に余る、甚だしいファウル)が使われる場合もある。
イリーガル・スクリーン illegal screen
パーソナル・ファウルの一つ。攻撃側のプレーヤーが守備側のプレーヤーを遮るために動きながらスクリーンをかけたり、十分な距離(守る相手から1歩以上)をあけないスクリーンをかけた場合。スクリーンとは「無理なフィジカル・コンタクトを起こすことなく、その場に立ち止まって動かない」こと。
イリーガル・ユース・オブ・ハンズ illegal use of hands
パーソナル・ファウルの一つ。ボールの保持に関係なく守る側のプレーヤーが不当に手を使ってゲームを有利に運ぼうとすること。かつての手をたたくなどのファウルのハッキングhackingにあたる。
インスタント・リプレイ・システム(IRS) instant replay system
ビデオ判定システム。国際バスケットボール連盟(FIBA)は2018年に、ショットの場合やアンスポーツマンライク・ファウルやディスクォリファイング・ファウルの場合に、正確な判定と処置を行うために導入を決定した。使用の判断はクルー・チーフにゆだねられる。
オーバータイム overtime
後半の第4クォーターが終了時に同点のとき、続いて行う1回5分間の延長戦。
オルタネイティング・ポゼッション alternating possession
ジャンプ・ボール・シチュエーションになったとき、その判定ごとに両チームが交互にスロー・インをしてゲームを再開すること。
クルー・チーフ crew chief
2名もしくは1名のアンパイア(副審)と組む従来の「主審」にあたる名称。IRSを使用することができる。使用するときの合図は手を水平に伸ばして人差し指を回す。
コミッショナー commissioner
スコアラーズ・テーブルのスコアラーとタイマーとの間に座る。ゲーム中のおもな任務は、テーブル・オフィシャルズの仕事を監督し、クルー・チーフとアンパイアがゲームを円滑に進行できるように補佐すること。
3秒ルール three seconds
バイオレーション(ファウル以外の違反行為)の一つ。フロントコートでボールを保持している(攻撃中の)チームのプレーヤーが制限区域内に3秒を超えてとどまってはならない。
ジャンプ・ボール jump ball
第1クォーターを始めるときに、センター・サークルでクルー・チーフが両チームの2人のプレーヤーの間にボールをトス・アップすること。
ジャンプ・ボール・シチュエーション jump ball situation
ヘルド・ボールと判定されたときのことをいう。判定ごとに両チームが交互にスロー・インをしてゲームを再開する。
スイッチ switch
マン・ツー・マン・ディフェンスのとき、あらかじめディフェンスする対象と決めていた相手方プレーヤーを仲間同士で替えて守る方法。シフトshiftともいう。
スクリーン・プレー screen play
プレーヤーが、あらかじめ位置を占め、または動くことによって、相手が望む守備位置に行くことをルールに違反せずに遅らせたり、妨げたりしながら攻める方法。
スコアラーズ・テーブル scorer's table
コートに向かって左側からテーブル・オフィシャルズが、ショット・クロック・オペレーター、タイマー、コミッショナー(同席している場合)、スコアラー、アシスタント・スコアラーの順で着席するテーブル。
スロー・イン throw in
コート外にいるプレーヤーがコート内にボールをパスすること。ボールがプレーヤーに与えられてから5秒以内にパスしなければならない。
ゾーン・ディフェンス zone defense
かつては、文字どおり全員で「地域」を守り固める方法と考えられていた。しかし、今日では種々の隊形で地域分担しながらも、組織的にボール中心に守る方法になっている。
タイム・アウト time out
コーチまたはアシスタント・コーチの請求によって認められるゲームの中断、休止時間。
ダブル・ドリブル double dribble
バイオレーションの一つ。ボールを保持しているプレーヤーが、ひと続きのドリブルを終えた後に、新たなドリブルをすること。あるいは、同時に両手を用いてドリブルをすること。
ダブル・ファウル double foul
両チームの2人のプレーヤーがほとんど同時に、互いにパーソナル・ファウルをすること。両者に1個ずつのパーソナル・ファウルが記録され、どちらのチームにもフリー・スローは与えられない。
ダンキング・ショット dunking shot
高くジャンプして、ボールをリングの位置より高く上げ、ダンクdunk(ボールをリングの中へ投げ落とすこと)して行うショット。
チャージング charging
パーソナル・ファウルの一つ。オフェンス側のプレーヤーがボールの保持に関係なく無理に進行して相手チームのプレーヤーに突き当たったり押しのけたりすること。
ディスクォリファイング・ファウル disqualifying foul
スポーツマシップからかけ離れたとくに悪質な行為。たとえば審判や観客などに対する暴言、暴力など。ゲーム中のプレーヤーのみならずチームのベンチにいる者(ベンチ・パーソネル)にも適用される。失格・退場と判定されたら、ゲームが終わるまで自チームの更衣室(ロッカールーム)内にいるか、コートのある建物からの退去となる。
ディナイ deny
パスが飛来すると予測したコースを遮り、相手にボールを持たせないように守ること。
テクニカル・ファウル technical foul
審判または相手チームに対して、スポーツマンシップとフェアプレーの精神から逸脱した言動やふるまい(目に余る激しい抗議、侮辱、ボールや器具などで殴ったりすること、ゲームの遅延など)を意図的あるいは繰り返し行った場合。
テーブル・オフィシャルズ table officials
スコアラー、アシスタント・スコアラー、タイマーおよびショット・クロック・オペレーター各1人、計4名のこと。審判をサポートする。
トラベリング travelling
バイオレーションの一つ。ドリブルすることなくボールを保持したまま3歩を超えて移動すること。かつては文字通り「キャリング・ザ・ボールcarrying the ball」(「ボールを持ち運ぶ」の意)ともよばれた。
トリッピング tripping
以前はバイオレーションの一つとされていた。ボールの保持などのために相手側選手に対して足を用いること。審判はつまさきを指さして合図する。ただし、足を用いたフィジカル・コンタクトと判定されたときはパーソナル・ファウルとなる。
ドリブル dribbling
ボールを保持しているプレーヤーがボールをフロアに弾ませながら、位置を移動する一連の動作のこと。
24秒ルール twenty-four seconds
バイオレーションの一つ。スロー・インされたボールをコート内で保持したチームは24秒以内にショットしなければならない。
ノー・チャージ・セミサークル no charge semicircle
攻撃側のプレーヤーがこのエリアに入ってきたとき、ディフェンスのプレーヤーとフィジカル・コンタクトを起こしても、手、腕、脚などの身体の部位を不当に使った場合を除き、その攻撃側のプレーヤーのファウルとはならない。
バイオレーション violation
ファウル以外のルール違反行為。回数に関係なく、そのたびごとに相手チームのスロー・インからゲームを再開する。
パーソナル・ファウル personal foul
フィジカル・コンタクトやその他の場合に起きた違反行為。5回目に達すると該当プレーヤーはそのゲームでは失格となる。また、各クォーターでチームの合計ファウル数の5個目からそのクォーター終了まで、ファウルが起こるたびに相手チームにフリー・スローが与えられる。
8秒ルール eight seconds
バイオレーションの一つ。バック・コートでボールを保持したチームは8秒以内にボールをフロント・コートに進めなければならない。
バック・コート back court
フロント・コートを除いて残ったセンター・ラインを含む他の部分。
バック・コート・バイオレーション back court violation
バイオレーションの一つ。フロント・コートでボールを保持しているチームがセンター・ラインを越えてバック・コートにボールを返すこと。以前はバック・パスball returned to the backcourtとよばれていた。
ピック・アンド・ロール pick and roll
ボール保持者を守っているプレーヤーに対し、仲間がスクリーンを仕掛けて(ピック)、守る動きを遅らせ、ボール保持者を動きやすくするとともに、スクリーンを仕掛けた仲間が方向転換し、守っているプレーヤーの進路をふさぎ、自らのフリースペースへ動き(ロール)、パスを受けるプレー。スクリーン・アンド・ロールscreen and rollとよぶこともある。
ファイティング fighting
チームのプレーヤーやチーム関係者が起こす暴力行為のこと。この行為が発生したときや起こりそうな気配があるときに、チームベンチ・エリアを離れたプレーヤー、チーム関係者は失格・退場になる。
フェイク fake
テクニカル・ファウルとなる行為。状況を有利にするためにファウルをされたふりをする、またはファウルをされたと判断されるために大げさな演技をすること。
プッシング pushing
パーソナル・ファウルの一つ。ボールの保持に関係なく無理に相手チームのプレーヤーを手や身体で押しのけたり、押して動かそうとすること。
フリー・スロー free throw
ファウルに対する罰則として相手に与えられるショットをいう。シューターはフリー・スロー・ラインの後ろ、かつ半円の中に立つ。
ブロッキング blocking
パーソナル・ファウルの一つ。ボールの保持に関係なく無理に相手チームのプレーヤーの進行を妨げること。
フロント・コート front court
相手チームのバスケットの後ろのエンド・ラインからセンター・ラインの近いほうの縁までのコートの部分。
ヘルド・ボール held ball
両チームの1人あるいはそれ以上のプレーヤーがボールに片手または両手をしっかりとかけて、どちらのプレーヤーも乱暴にしなければそのボールを保持できない場合。また、両チームのプレーヤーが同時に最後に触れてボールがラインを越えてコート外に出たとき、だれが最後に触れたかの判定が困難な場合、あるいはボールがバスケットの支えにのった場合にヘルド・ボールと判定される。
ホールディング holding
パーソナル・ファウルの一つ。ボール保持に関係なく、相手の身体の一部をつかんだり、背後から抱え込んで相手プレーヤーの自由な動き(フリーダム・オブ・ムーブメント)を妨げること。
マッチ・アップ match up
マン・ツー・マン・ディフェンスのとき、自分と(守っている)相手プレーヤーとの組合せ。プレーの展開中に、あらかじめ決めていた守る相手プレーヤーがスイッチやその他の理由で変わったときの組合せ。
マン・ツー・マン・ディフェンス man to man defense
バスケットボールの基本的なディフェンス方法。マン・ツー・マンとは「1対1」のことを意味し、あらかじめ決めておいた相手プレーヤーを各自が1対1でマークして守る。今日ではスイッチなどで始めに決めていた守る相手を変えつつも、5人が連携してお互いの1対1を崩されないように対抗する守り方に変わっている。マン・マークman markとよばれることもある。