フロント(読み)ふろんと(その他表記)Marcus Cornelius Fronto

デジタル大辞泉 「フロント」の意味・読み・例文・類語

フロント(front)

正面前面。「フロントドア」
最前線戦線
新聞の第一面。
《front deskの略》ホテルなどの受付
《front officeの略》プロ野球の球団首脳陣。
[類語]受付帳場窓口インフォメーション

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精選版 日本国語大辞典 「フロント」の意味・読み・例文・類語

フロント

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] front )
  2. 正面。前面。前方。
    1. [初出の実例]「貸間の中では一番上等な表向(フロント)の一室に入り」(出典:あめりか物語(1908)〈永井荷風市俄古の二日)
  3. 前線。戦線。
    1. [初出の実例]「この地が日本の玄関として、大陸へのフロントとして」(出典:日本の裏街道を行く(1957)〈大宅壮一〉九州イデオロギーの群像)
  4. ホテルなどの、正面の受付。
    1. [初出の実例]「フロントに電話して」(出典:古川ロッパ日記‐昭和一五年(1940)八月二三日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロント」の意味・わかりやすい解説

フロント
ふろんと
Marcus Cornelius Fronto
(100ころ―166以後)

古代ローマ雄弁家ヌミディアキルタに生まれる。ローマで政務官歴任、143年に執政官(コンスル)となる。修辞学の教師として名声が高く、アントニヌス・ピウス帝により、後の皇帝マルクス・アウレリウスのラテン語の家庭教師に任ぜられる。プラウトゥスカトーサルスティウスなどの古風な文体手本とした華麗な散文は後代に強い影響を与えた。

[土岐正策 2015年1月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「フロント」の意味・わかりやすい解説

フロント
Marcus Cornelius Fronto
生没年:100ころ-166ころ

ローマの弁論家,修辞学者。北アフリカのキルタ出身。アントニヌス・ピウス帝の信を得て,養子マルクス・アウレリウスとウェルスの修辞学の教師に任ぜられた。143年にはコンスルに就任。彼に名声をもたらした数々の演説はいずれも散逸したが,19世紀前半にイタリアのボッビオ修道院からマルクス・アウレリウスとの往復書簡集,その他多くの書簡が発見された。これらは決して高い才能を感じさせるものではないが,彼の修辞学研究の一端をのぞかせると同時に,当時の宮廷のようすもよく伝えている。彼は哲学を嫌い,修辞学の価値を終始一貫して説き,おもにプラウトゥス,大カトー,サルスティウスら古典期以前の作家の文体に範を求めた。弟子を深く愛し,弟子からも愛された。マルクス・アウレリウスは結局哲学の道を選び,哲人皇帝として《自省録》も残したが,師フロントを終生敬愛してやまなかった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フロント」の意味・わかりやすい解説

フロント
Fronto, Marcus Cornelius

[生]100頃.ヌミディア,キルタ
[没]166頃
ローマの雄弁家。マルクス・アウレリウス帝の修辞学教師。 143年執政官。キケロ以後最大の雄弁家といわれるが演説はすべて散逸,マルクス・アウレリウスとの往復書簡が現存。

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岩石学辞典 「フロント」の解説

フロント

前縁

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世界大百科事典(旧版)内のフロントの言及

【ラテン文学】より

…共和政の崩壊によって実際の活動の場を失った弁論は,学校に入り,修辞学となって,すべての学問の基礎としての地位を獲得した。有名な弁論術教師には,演説の見本集を残した大セネカ,《弁論術教程》を著したローマ最大の修辞学者クインティリアヌス,皇帝マルクス・アウレリウスの師フロント,弁論のための資料集を編んだウァレリウス・マクシムスValerius Maximusなどがいる。 白銀時代の最大の作家は小セネカ(以下単にセネカと記す)とタキトゥスであろう。…

※「フロント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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