日本大百科全書(ニッポニカ) 「ばね秤」の意味・わかりやすい解説
ばね秤
ばねばかり
spring scale
ばねを利用して質量を計る秤。品物に働く地球重力の加速度による力がばねの弾力とつり合い、ばねの伸びが荷重に比例する原理による。つる巻きばねの下端に指標をつけ、直線的に刻んだ質量目盛りで読み取る簡単な手秤から、ばねの伸びを機械的・光学的・電気的に拡大する秤まで各種があり、使用するばねも、板ばね、渦巻きばねなどがある。弾性ブロックにひずみゲージをつけ、荷重によるわずかなひずみを電気抵抗の変化として検出するものも、計量法ではばね秤に含めている。また、ばね秤の指示機構は、従来のてこ式秤の指示部として使われることも多く、自動体重計はその一例である。
ばね秤のばねは、その弾性限界内で使用する必要がある。さらに、温度によって弾性が変化するので、温度補償装置をつけるか、温度によって弾性係数の変わらないばね(恒弾性ばね)が使用される。重力加速度の差も直接影響するので、計量法では、800分の1より細かい目盛りをもつばね秤には、使用する場所を表記することを義務づけている。つまり、つくる者がその使用地の重力加速度にあわせて調整する。
[小泉袈裟勝・今井秀孝]