弾性係数(読み)ダンセイケイスウ(英語表記)elastic coefficient

デジタル大辞泉 「弾性係数」の意味・読み・例文・類語

だんせい‐けいすう【弾性係数】

弾性率

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「弾性係数」の意味・読み・例文・類語

だんせい‐けいすう【弾性係数】

  1. 〘 名詞 〙だんせいりつ(弾性率)〔電気工学ポケットブック(1928)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「弾性係数」の意味・わかりやすい解説

弾性係数 (だんせいけいすう)
elastic coefficient

固体ひずみ応力は,ひずみが小さいときはほぼ比例関係にある(フックの法則)。この比例係数を弾性係数,または弾性率modulus of elasticityという。応力の成分,ひずみの成分はそれぞれ6個あるので,弾性係数の数は36個あることになるが,応力,ひずみは対称テンソルであるから,独立な係数の数はもっとも一般的な場合21個である。結晶の対称性が増すと独立な係数の数が減り,対称性のもっとも大きい立方晶系では3個となり,さらに等方的な物質では2個になる。このほかに,結晶を構成する原子どうしの相互作用ポテンシャルが中心力(ポテンシャルが相互の距離のみに依存する)の場合,コーシーの関係と呼ばれる関係がある。

 もっともふつうに使われる弾性係数は,ヤング率剛性率(ずれ弾性率),体積弾性率ポアソン比である。これらは等方弾性体について次のように定義される。(1)ヤング率 一つの方向に引張応力(または圧縮応力)σが働くとき,その方向の伸びのひずみεとの比E=σ/εをいう。(2)剛性率 せん断応力τとずれのひずみγとの比G=τ/γをいう。(3)体積弾性率 弾性体に一様な圧力pが加わるときの体積ひずみV/Vとの比として,K=-p/(⊿V/V)で表される。これら三つの弾性係数は,ふつうの金属などではほぼ1010N/m2程度の大きさをもつ。(4)ポアソン比 一つの方向に引張応力を作用させると,その方向に伸びのひずみεを生ずるとともに,それに垂直な方向にも縮みのひずみε′を生ずる。このときν=|ε′/ε|をポアソン比と呼ぶ。νは0と0.5の間の値になり,ν=0.5は体積の変化を生じない場合であり,弾力ゴムでは0.46~0.49である。ふつうの物質ではνは0.3の近傍の値になっている場合が多い。

 等方性弾性体ではヤング率,剛性率,体積弾性率,ポアソン比は独立ではなく,相互に関係づけられる。前述のように,等方性弾性体で独立な弾性係数は2個であり,その2個としてよく用いられるものに,フランスのラメGabriel Lamé(1795-1870)によって導入されたラメの弾性係数(ラメの定数ともいう)λ,μがあるが,これを用いると,

の関係がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弾性係数」の意味・わかりやすい解説

弾性係数
だんせいけいすう
elastic modulus; modulus of elasticity

弾性体の比例限度内では応力ひずみは比例し,その間の比例定数は物質特有の値をとる(温度によって変わる)。この値を物理学では弾性率,弾性定数などと呼び,工学では弾性係数という。一般の弾性体では 36個の比例定数が存在するが,等方・等質の場合には 2個となり,ラメの定数と呼ばれる λ,μがその例になる。しかし,λは物理的意味をもたないので,工学ではもっぱら次の弾性係数を用いる。(1) 縦弾性係数またはヤング率 E 伸び弾性率ともいい,棒材を引っ張るときのように,単軸の垂直応力 σと縦ひずみ εの比例関係 σ=Eεを表す定数。(2) 横弾性係数,剛性率または剪断弾性係数 G 丸棒をねじるときのように,剪断応力 τと剪断ひずみ γの比例関係 τ=Gγを表す定数。(3) 体積弾性係数 K 水中に置かれた直方体の体積変化のように,各側面に作用する垂直応力の平均値 σm と,体積ひずみ εv(単位体積あたりの体積変化。体積膨張率ともいう)の比例関係 σmKεv を表す定数。ここで,σm は平均応力または静水圧応力とも呼ばれ,各垂直応力を σ1,σ2,σ3とすれば,σm=(σ1+σ2+σ3)/3で与えられる。(4) ポアソン比 ν 丸棒を伸長すれば,軸方向に伸びるとともに直径は細くなる。いま,軸方向のひずみを縦ひずみ ε,直径方向のひずみを横ひずみ -ε'とし,その比に負号をつけた値すなわち ν=-ε'/εをポアソン比,その逆数 1/νをポアソン数という。νの値は 0.5より大きくはならない。これらの係数の間には関係式 E=2G(1+ν)=3K(1-2ν)があるから,いずれか二つの測定値がわかれば,ほかは計算によって求められる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

法則の辞典 「弾性係数」の解説

弾性係数【coefficient of elasticity】

通常は「弾性率」という.ヤング率*,体積弾性係数,剪断弾性係数の総称である.応力の増分と歪みの増分の比である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「弾性係数」の解説

弾性係数

 →剛性率

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android