フックの法則(読み)ふっくのほうそく(英語表記)Hooke's law

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フックの法則」の意味・わかりやすい解説

フックの法則
ふっくのほうそく
Hooke's law

つるまきばねにおもりをつるすと、その伸びはおもりの重さに比例して増大する。このように、弾性体に力を加えて変形させると、変形の小さい間は力と変形とが比例する。これをフック法則といい、1678年にイギリスのR・フックによって発見された。一般的にいえば、ひずみが小さいときは応力はひずみに比例する。この比例性から外れ始める点を弾性比例限界というが、これは力や変形をどれだけ精密に測定するかによるもので、あまりはっきりした意味はない。

 フックの法則の成立する範囲では、物質の弾性は弾性率で表される。比例限界以上では高次の弾性率(応力をひずみで表したとき、ひずみの二乗、三乗の項の係数)をも導入しなくてはならない。

[和田八三久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フックの法則」の意味・わかりやすい解説

フックの法則
フックのほうそく
Hooke's law

力を加えられた物体の変形が大きくないときは,変形の度合いが加えた力に比例するという法則。 R.フックが発見した (1660) 。力を除けば変形が消えてもとの形に戻るような物体を弾性体といい,その変形には,伸縮,ずれ,体積変化などがある。弾性体の変形の度合いをひずみ,変形に抵抗して弾性体の内部に現れる力を応力という。フックの法則は,正確には「ひずみは応力に比例する」と表現され,変形が小さくて応力がある値 (比例限度という) をこえないかぎりはどの種類の変形に対しても成り立つ。 C.ナビエは弾性体のひずみと応力がテンソル性をもつことを見出し,A.コーシーはフックの法則を「ひずみテンソルは応力テンソルの1次関数である」と一般化した。

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