改訂新版 世界大百科事典 「バラスター」の意味・わかりやすい解説
バラスター
baluster
階段,通路,ベランダ,バルコニー,建物屋上等に設けられる手すりの笠木(手すり棒)を支える垂直の束(つか)材。手すり子。転落防止のためには手すり上部までの高さ110cm以上が適当とされるが,装飾用の短いものから遠方ないし下方より眺められることを考慮した長いものまで諸例がある。断面が円形で,刳形(くりかた)をつけて上方で細く,下方に膨らみをもつ花萼形をとることが多く,語源も〈ザクロの花萼〉を意味するギリシア語balaustionにある。古くはアッシリアの宮殿建築に用いられたことが知られるが,ギリシア・ローマ建築には用例がなく,一般化するのはルネサンス期以降であり,中央にくびれをもつもの,花瓶形のもの,球をあしらったもの,立体を重ねあわせたものなど多種多様な意匠がある。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報