日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルコニー」の意味・わかりやすい解説
バルコニー
ばるこにー
balcony
建物の二階以上の壁から室外へ持ち出してつくった、屋根のない手すり付きの台。劇場などの、メインフロアより高く壁から前方に突出している座席や、舞台装置のうちで手すりのついた高台をさすこともある。住宅建築のバルコニーは、壁の割合に窓の小さな南ヨーロッパや西南アジアで多く用いられている。きつい太陽光線を遮るために厚くて広い壁面に囲まれた住宅にあって、窓は唯一の自然と接する部分であることから、人々は窓に大きな関心を寄せ、花や巧みに細工されたグリル(格子)などで飾り付けを行う。バルコニーもこの窓の変形とみることができる。西ヨーロッパでは、バルコニーというと、長さの比較的短いものをいい、長くて、鉄筋コンクリートのものはテラスとよんで区別している。日本でも近年アパート、マンション生活が普及するにしたがい、上階では自然や大地と切り離されているため、バルコニーに花や緑を飾ることがしだいに行われるようになってきた。
[中村 仁]